推進工法は、様々な敷設条件にあった最適な工法が選定され設計・実施工に移される。
例えば、
設計面では :使用目的、管径の大小、管渠延長、管渠土被り、管渠線形、発進立坑、到達立坑、
切羽の安定化対策、立地条件(近設施工)、土質条件、工期等が選定の要因になる。
実施工面では:推進基地の確保、到達基地の確保、工事道路の幅員、立地条件に左右される実働時間、
騒音・振動対策,地中障害物の有無、道路汚染対策、第3者安全対策等が工法選定の要因に
なる。
工法は多岐に渡るので代表的なものを紹介します。
【工法概要】
刃口推進工法は、管列の先端に刃口を装着し、開放状態の切羽を一般に人力で掘削する。したがって、切羽地山の自立が必要条件となる。自立性に欠ける地山の場合は薬液注入工などの補助工法の併用等を考慮する必要がある。本工法は、密閉型に比べると設備が簡易であり、主として短距離の施工に適している。元押および中押併用の場合の推進延長の目安を以下の表に示す。
【工法概要図】
刃口推進工法概要図
【工法適用性】
【工法概要】
先導体の隔壁に開口率1~10%を施し、ジャッキで静止土圧に近い推進力で先導体を地山に押し込み、切羽土を自然流入させながら推進する工法である。
【工法概要図】
【工法の適用土質】
多くのブラインドシ-ルド工法等の施工実績を整理し、作成された適用土質条件を明示する。
【工法概要】
泥水式推進工法は、前部が隔壁で密閉された泥水式掘進機のカッタ-チャンバ-内に満たされた泥水の圧力を、切羽の土圧および地下水圧に見合う圧力に保持することにより切羽を安定させる。また、カッタヘッドの回転により掘削した土砂を泥水に混入して坑外へ流体輸送しながら、立坑に設けた元押ジャッキの推進力により推進管を推進し埋設する工法である。流体輸送された排泥水は坑外に設けた泥水処理設備により土砂と泥水に分離し、泥水は再び切羽へ送られ、送泥水、排泥水の管路系統は循環回路になっている。
【工法概要図】
泥水式推進工法概要図
【適用土質】
本工法の基本的な適用土質の分類は、下記のとおりである。
注)1.掘削対象地盤の透水係数は、1×10-2㎝/s程度までとする。
2.破砕対象となる玉石の一軸圧縮強度は200MN/㎡未満。
3.玉石により掘進機の姿勢制御が困難になった場合、地盤改良を行い掘進機を
引き戻して再掘進する。
4.崩壊性の高い玉石混じり土で、掘進速度が著しく低い場合は、薬液注入などを併用
し、切羽の安定を検討する。
尚、上記適用範囲外のものについては、別途検討するものとする。
【工法概要】
前部が隔壁で密閉された土圧式掘進機のカッタ-チャンバ-内に掘削土砂あるいは掘削土砂と添加材の撹拌混練り土砂(泥土)を充満させ、土砂の圧力を切羽の土圧及び地下水圧に見合う 圧力に保持する事により切羽の安定を図る。また、カッタ-ヘッドの回転により掘削した土砂をスクリュコンベアで排土量を調整しながら、立坑に設けた元押しジャッキの 推進力により推進管を推進、埋設する工法である。 掘削土砂の排出は、トロバケット方式、圧送ポンプ方式又は、吸泥排土方式により行う。土圧式推進工法は、添加材注入の有無により土圧推進工法と泥土圧推進工法に分類される。なお、添加材注入は、一般にシルト、粘土の含有率が30%未満の場合に、掘削土砂の塑性流動化を促進させるために行われる。
【工法概要図】
土圧式推進工法概要図
【適用土質】
本工法の基本的な適用土質の分類は、下記のとおりである。
注)1.破砕対象となる玉石の一軸圧縮強度は200MN/㎡未満。
2.玉石により掘進機の姿勢制御が困難になった場合、地盤改良を行い掘進機を
引き戻して再掘進する。
3.崩壊性の高い玉石混じり土で、掘進速度が著しく低い場合は、薬液注入などを併用
し、切羽の安定を検討する。
4.呼び径800および900の場合には、施工条件によって対応な掘進機の台数に制限があ
るので関係工法団体に問い合わせすること。
尚、上記適用範囲外のものについては、別途検討するものとする。
【工法概要】
泥濃式推進工法は、泥濃式掘進機のカッタ-チャンバ-内に高濃度の泥水を圧送充満し、切羽の安定を図りながらカッタにより掘削する。掘削した土砂を高濃度泥水と撹拌混合し流動化させ、掘進機内の排土バルブを開閉することにより、切羽を安定させながら間欠的に排土する。大気圧下に排土された掘削土砂は、吸引力により搬出する。
【工法概要図】
泥濃式推進工法概要図
【適用土質】
本工法の基本的な適用土質の分類は下記のとおりである。
注)1.掘削対象地盤の透水係数は、1×10-2㎝/s程度までとする。
2.破砕対象となる玉石の一軸圧縮強度は200MN/㎡未満。
3.玉石により掘進機の姿勢制御が困難になった場合、地盤改良を行い掘進機を
引き戻して再掘進する。
4.崩壊性の高い玉石混じり土で、掘進速度が著しく低い場合は、薬液注入などを併用
し、切羽の安定を検討する。
尚、上記適用範囲外のものについては、別途検討するものとする。
工法は多岐に渡るので施工頻度から代表的なものを紹介する。
【工法概要】
鉄道、道路、河川横断工事や既設管・既設人孔に取り付ける管工事に多用されている。代表例としてベビーモール工法は鋼管を回転削進する一重管削進を基本としている。この工法は削進鋼管内にオーガー等の補助装置を必要とせず、削進鋼管内の空間を利用できるため削進進路にパイル、型鋼、木杭、ライナープレート、鉄筋コンクリート、玉石等の埋設物のある通常困難とされる土質でもその埋設物を切削し、削進鋼管内に取り込んでしまうことによって削進を継続する事を可能としてい。これにより精度等の条件にもよりますが30m程度までなら多くの状況に対応し削進を行うことが出来るという特徴がある。
【施工手順】
(ベビ-モ-ル工法)
高耐荷力方式は、高耐荷力管(鉄筋コンクリ-ト管、ダクタイル鋳鉄管、陶管、複合管等)を用い推進方向の管の耐荷力に抗して、直接管端に推進力を負荷して推進する施工方式である。
【工法概要】
・工法全般説明
圧入方式は、油圧ジャッキ、衝撃ハンマ-を用いて鋼管を推進させる一工程式と、
最初に先導体及び誘導管を圧入させた後、これを案内として推進管を推進する二工程式とに
分類される。
・一工程式
図例のようにジャッキを用い、先導体により地山を圧密、且つ方向性の修正を行いながら
推進管を推進するもので、排土は行わない。
【工法概要図】
高耐荷力方式・圧入方式一工程概要図
【適用土質・推進延長】
一工程方式の油圧ジャッキ式の適用土質・推進延長は以下の通りである。
粘性土、砂質土でN値は15までの土質であり、推進区間の延長は30m程度である。
衝撃ハンマ-式は、粘性土~礫質土まで適用でき、推進延長は30m程度である。
(但し鋼管を使用する)
【適用管径】
油圧ジャッキ式は一般には管径φ250、φ300mmの推進管に適用される。
衝撃ハンマ-式は、土質別に鋼管でφ250mm~φ1000mmまで適用できる。
【工法概要】
工法概要図は、2種類の工法を後に示しているので参考にして下さい。
二工程式は、一般に軟弱な地盤に多用される。第一工程で、先導体および誘導管を圧
入推進させ、第二工程で誘導管を案内として小口径推進管を圧入推進する。
第一工程には、先導体として圧密ジヤッキヘッドを用いる方法と、斜切りヘッドを用
いる方法がある。先導体には遠隔方向制御装置を有し、方向修正を行う。
第二工程は、誘導管後部に拡大カッタと推進管を接続し、排土スクリュをセットした誘導管
を案内として排土しながら小口径推進管を推進する。
【工法概要図】
高耐荷力方式・圧入式二工程式概要図
(圧密ジャッキヘッドを用いる例)
高耐荷力方式・圧入式二工程式概要図
(斜切りヘッドを用いる例)
【適用土質・推進延長】
ほとんど一般的には二工程方式のみの適用土質・推進延長が示されている。
粘性土は、1<N<15程度まで、砂質土でN値は10程度までの土質であり、推進区間の
延長は50m程度までである。
【適用管径】
土質別に鋼管でφ250mm~φ700mmまで適用できる。
【工法概要】
オーガ方式は、先導体内にオーガヘッドおよびスクリュコンベヤを装着し、この回転により
掘削排土を行いながら誘導管又は推進管の推進を行う工法である。また、遠隔方向制御装置
を設けており、方向修正を行う。
先導体に直接推進管を接続して推進を行う方式である。オーガヘッドにより掘削された
土砂は、推進管内に設置されたスクリュコンベヤおよびケーシングにより発進立坑まで排土
される。
高耐荷力方式・オ-ガ方式-工程式施工概要図
【適用土質・推進延長】
適用土質の範囲は、粘性土、シルト、砂質土、小礫層であり、玉石層、礫質土にはロ-ラ-
ビット等の専用ビットを装備した機種が用いられる。推進延長は、一般的な条件の場合60
~70m程度である。
【適用管径】
土質条件にもよるが、φ250mm~φ700mm(主として鉄筋コンクリ-ト管)
【工法概要】
①工法全般説明
泥水方式は、推進管又は誘導管の先端に泥水式先導体を装備し、切羽安定のため泥水を送り、カッタの回転により掘削を行い、掘削した土砂は泥水と混合しスラリ-状の掘削土砂を流体輸送して、地上の泥水処理設備で土砂と泥水に分離する方式であり、一工程式と二工程式とがある。遠隔方向制御装置を設け、方向修正を行う。
適用範囲は、一般的に軟弱土、滞水性砂質土、砂磯土等であるが、玉石、転石、岩盤対応の専用機もある。
②一工程式の説明
一工程式は、密閉式泥水式を小型化し遠隔制御したもので、先導体に直接推進管を接続して推進する方式である。
推進区間の延長は、標準管の場合、管径により100~140m程度である。
短管の場合、管径により80~100m程度である。
高耐荷力方式・泥水方式一工程式施工概要図
【適用土質・管径】
粘性土:1<N<50、砂質土:N≦10,10<N≦50工法によってはN>50、礫・玉石:一部
管 径:φ250~φ700mm
【工法概要】
二工程式の掘削および推進の原理は一工程式と同様であるが、第一工程で、先導体に誘導管
を接続して、一且到達立坑まで推進した後、第ニ工程で、誘導管を推進管と置換する方式で
ある。推進区聞延長は、管径により120~160m程度である。
高耐荷力方式・泥水方式二工程式施工概要図
【適用土質・管径】
粘性土:1<N<50、砂質土:N≦10,10<N≦50工法によってはN>50、礫・玉石:一部
管 径:φ250~φ500mm
【工法概要】
泥土圧方式は、推進管の先端に泥土圧式先導体を装備し、掘削土砂の塑性流動化を促進させるための添加材注人と止水バルブの採用により、切羽の安定を保持しながらカッタの回転により掘削を行い、掘削量に見合った排土を行うことで切羽土圧を調整しながら推進する方法である。排土方式には、スクリュコンペヤで行う方式と、圧送ポンプにより排土する方式がある。
高耐荷力方式・泥土圧方式一工程式施工概要図
(スクリュ排土・立坑内駆動方式)
高耐荷力方式・泥土圧方式一工程式施工概要図
(スクリュ排土・先導体駆動方式)
【適用土質・推進延長】
適用土質は、粘性土、砂質土の滞水層、硬質土、疎、玉石混り土で、掘進駆動源を立坑内に置く立坑内駆動方式では推進区間の延長は60~80m程度で、先導体内に駆動源を持つ先導体駆動方式では推進区間の延長は80~100m程度である。また、先導体の先端力ッタ-を交換することにより、普通土から疎、玉石混り土まで対応することができ、デイスクカッタ-やコーン型クラッシングヘッドを装備することにより、玉石を破砕して掘進する。圧送排土方式では130~150m程度である。
【適用管径】
立坑内駆動方式:φ250~φ700mm 先導体駆動方式:φ350~φ700mm
圧送排土方式:φ250~φ700mm
【工法原理】
低耐荷力方式は、低耐荷力管(硬質塩化ビニル管)を用い、先導体の推進に必要な推進力の先端(初期)抵抗を推進力伝達ロッドに作用させ、低耐荷力管には、土との管外周面抵抗のみを負担させることにより推進する方式である。
低耐荷力方式の原理説明図
【工法概要】
圧入方式は、最初に先導体および誘導管を圧入させた後これを案内として推進管を推進する。本方式は、鋼製の誘導管を先導体を用い方向修正を行いながら到達立坑まで圧入推進させた後、誘導管を案内として拡大ヘッドを用いて掘削し、発進立坑に排土しつつ、推進ジャッキによりケ-シング(推進力伝達ロッド)に推進力を負荷し、先端抵抗力を負担、低耐荷力管には、土との管周面抵抗のみを負担させることにより、低耐荷力管推進するものである。
低耐荷力方式・圧入方式二工程式施工概要図
【適用土質・推進延長・適用管径】
適用土質:適用範囲は、N値0~40程度
推進延長:管径により40~70m程度
適用管径:φ150mm、φ200~φ450mm
(40m程度) (50m程度)
【工法概要】
オーガ-方式は、低耐荷力管を用い、先導体内にオ-ガ-ヘッドおよびスクリュコンベヤを装備し、その回転により掘削排土を行いつつ、推進ジャッキによりケ-シング(推力伝達ロッド)に先端抵抗力を負担させ、低耐荷力管には、土との管周面抵抗のみを負担させることにより、低耐荷力管推進する方式であり、一工程式である。
低耐荷力方式・オーガ-方式一工程式施工概要図
【適用土質・推進延長・適用管径】
適用土質:適用範囲は、N値1~50程度
推進延長:管径により30~70m程度
適用管径:φ150mm、φ200~φ300mm、φ350~φ450mm
(ℓ=30m程度)(ℓ=50m程度)(ℓ=60m程度)
【工法概要】
泥水方式は、泥水式先導体に送排泥管を内蔵したケ-シング(推力伝達ロッド)を接続し、泥水を圧送、切羽の安定を図りながら、カッタ-の回転により掘削を行う。掘削した土砂は泥水と攪拌し、排泥管をとおして排泥ポンプにより坑外に流体輸送して、地上の泥水処理設備で土砂と泥水を分離する。推進ジャッキによりケ-シング(推力伝達ロッド)に先端抵抗力を負担させ、低耐荷力管には、土との管周面抵抗のみを負担させることにより、低耐荷力管推進する方式であり、一工程式である。
低耐荷力方式・泥水方式一工程式施工概要図
【適用土質・推進延長・適用管径】
適用土質:適用範囲は、N値1~50程度
推進延長:管径により65~90m程度
適用管径:φ200mm、φ250~φ350mm
(ℓ=65m程度)(ℓ=80m程度)
【工法概要】
泥土圧方式は、滞水層地盤を対象とし、推進管の先端に泥土圧式先導体を装備し、添加材を注入し、掘削土砂の塑性流動化をはかり切羽の安定を保持しながら掘削を行い、ピンチ弁の開閉により切羽圧を調整し、先端抵抗をケ-シング、スクリュコンベヤ等(推力伝達ロッド)に負担させ、低耐荷力管には、土との管周面抵抗のみを負担させ推進する工法である。
低耐荷力方式・泥土圧方式一工程式施工概要図
【適用土質・推進延長・適用管径】
適用土質:適用範囲は、N値0~50程度
推進延長:管径により50~70m程度
適用管径:φ200~φ300mm、φ350~φ450mm
(ℓ=50m程度) (ℓ=60m程度)
【工法概要】
本工法を用いる目的は、発進立坑に近接する既設構造物がある場合、例えば重要な大型鉄道踏切道部(ポイント設備有り)の直下を推進する場合や、河川の直下を推進する場合には以下の点が憂慮される、これらの点を解決する一つの方法にある。
① これらの直下横断部を長期に渡って繰り返し推進管外径が地盤と摩擦すると、
管周囲の地盤が緩んだり、変位して地上に地盤沈下が起きる恐れがある。
② その結果、地上構造物の機能が失われる。
③ 河川の場合には、長期間推進中に発進立坑に推進管に沿って湧水が作用し
噴発事故が懸念される。
④ 発進立坑近辺に地中障害物がある場合、事前にさや管施工で処理し、
本推進の施工不可にならないようにする配慮が必要となる。
施工フロ-図
【工法概要】
過去の工事で残置された鋼矢板等がシールド工法や推進工法で地下トンネルを設けるのに、抵触する場合、その部分を撤去用推進トンネルで事前に引き抜き撤去する工法である。
地中障害物撤去施工概要図
【施工フロ-】
【工法概要】
狭い立坑から、短距離の鋼製さや管推進を簡易設備で実施できる工法である。さや管推進後掘削土を排除し、本管の塩ビ管を挿入して中詰を行い管渠を築造する。
【工法の特徴】
① 狭隘な立地施工条件を満足できる工法(極小立坑での施工)
② 取り付け管、短距離の連絡管を簡易な施工設備で可能
③ 推進管施工に伴う補助工法(薬液注入工法等)を軽減できる工法